こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「淪落の人」 淪落人 Still Human

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2018年 香港作品

製作:フルーツ・チャン

監督・脚本:オリバー・チャン

出演:アンソニー・ウォン、クリセル・コンサジ、サム・リー、セシリア・イップ

   ヒミー・ウォン

 

2月1日から上映の、「淪落の人」見てきました。暖かい涙の流れる、映画でした。

 

香港で目にする、フィリピンやインドネシアからやって来て、低賃金でメイドとして働く人たち。この人たちの姿を描いた映画は、初めてなのではないでしょうか。

 

香港の社会で、差別され見下され、居場所のない彼女たち。本音や世渡り術、家族や身の上に起きたことなど、あのセントラルの段ボールで区切られた狭い空間の中で、どんなことが語られているか、初めて知ることができました。

 

ちょうど前日、「ダウントンアビー」の映画版を見てきたばかりなのですが、階級社会のあり方は、イギリス時代からの伝統なのでしょうか。この映画の中で、はっきりと見られる主従関係。かつては日本でも、主人と奉公人という関係はあったわけですが、一億総中流といわれるようになり、一般の家庭で家政婦など雇うことのない日本人にとっては、ちょっとびっくりします。

 

でも、外国人労働者がいるということは、日本でも現実。我々が彼らにどう対処しているか。この映画から学ぶことはたくさんあると思います。

 

事情があって、夢を半ば置き去りにしてでも、居場所のない香港でメイドとして働かざるを得ないエヴリン。そして、思わぬ事故で肩から下に障害を負ったチョンウィン。彼もまた、この社会の中で自分の居場所、生きる意味を見出せずにいます。

 

お互い、広東語、英語が不自由で、意思の疎通が難しかった二人が、メイドと雇い主という関係でありながら、近寄り寄り添っていくのは二人が同じように心に傷を負っている人間同士だからなのでしょう。

https://youtu.be/BlE2TIn1QGM

 

香港の政治をめぐる発言のため、5年もほとんど収入がなかったという、アンソニー・ウォン。この映画にも、熱意を持ってギャラなしで出演しているそうです。

 

『淪落の人』自由を失くした香港映画の未来のために。デモ支持で封殺された名優アンソニー・ウォンの思い | ハフポスト