こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ブーリン家の姉妹」 The Other Boleyn Girl

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イギリスの歴史の話でもあり、人間の欲望の話でもあり、孤独の話でもあり、
家族の話でもあり、愛の話でもある、いろんな見方をすることができると
思います。人により見方はありますが、私的には、相手に対するアプローチの
仕方で、相手から受けるものがこんなにも違うものか、ということを
発見させられました。そして、相手に対する自分の心や行動が、自分に
帰ってくる。因果応報とでももうしましょうか。

男の世継に恵まれないヘンリー8世エリック・バナ)に、ブーリン卿は
自慢の長女アン(ナタリー・ポートマン)を差し出します。しかし、王が
見染めたのは清純な次女メアリー(スカーレット・ヨハンソン)でした。
否といえずに宮廷に上がったメアリーは、王の孤独を感じ、王を愛するように
なっていきます。失望のアンは、メアリーに付いて宮廷に上がるものの、
スキャンダルが発覚しそうになり、フランスへ追放されます。再び呼び戻された
彼女は、フランスで洗練され、その魅力で王を虜にしてしまうのです。王に
愛された彼女は王妃の座を求め、ついには王をカソリック教会から分離させ
王妃と離婚をさせ、自分がその座に就くのです。

それにしてもこの時代のイギリス、本当にびっくり仰天ですねー。
人々はキリスト教の信仰を重要なよりどころにしているわりには、
権力のために娘を、それも結婚している娘でさえ、王に差し出すんですよ。
夫でさえ、その権力にあやかろうとするんです。でも、愛人の身の上ははかない。
愛人が産んだ子供は、庶子として何の特権も持たないのです。女であることは
とっても辛い時代なんです。

ヘンリー8世だって、それまでは絶対王政を築き上げるために、強く立派な
王だったかもしれません。しかし、彼にも負の部分がある。絶対権力者でも
自分ではどうしようもない欲望のために、自分と国を危うくするような
愚かな行いをすることとなるのです。

結局、自らの欲望のために行動した人間には、それなりの最後が訪れます。
皮肉なことには、あれほどヘンリー8世は男子の後継者を望んだにもかかわらず
後を継ぐのはアン・ブーリンの子エリザベス。そのエリザベスの元にイギリスは
大帝国となるんですから。おまけに、カソリック教会から分離して英国国教会
設立したことも、イギリスが独自の路線で反映することを助けたともいえるわけで、
歴史って不思議だなあと思います。

この後、続けて「エリザベス」「エリザベス ゴールデン・エージ」を見ると
イギリスの大歴史絵巻を堪能できそうですね。

ナタリー・ポートマンスカーレット・ヨハンソンのブーリン家の姉妹は、
初々しくて美しいだけでなく、対照的な二人の性格のくっきり表し、納得です。
ヘンリー8世は、肖像画のようなデブでタイツのおじさんではなく、男っぽくて
かっこいいエリック・バナでした。