2012年 チリ アメリカ作品
監督:パブロ・ラライン
製作:ファン・デ・ディオス・ラライン、ダニエル・マルク・ドレフェス
8年延期することに対する国民投票を行うことになった。反対派は広告界の若手を
"NO"キャンペーンに起用。それまで自由に報道をすることなど出来なかったTVで
毎日15分のPR番組を展開していく。>
今日は上映後、プロデューサーのダニエル・マルク・ドレフェスさんが登壇いたしました。
若くてとてもお育ちのよさそうなダニエルさん、とても分かりやすく丁寧な英語で、
今日は観客からの質問もよく、面白い話をいろいろ聞くことができました。
この映画の舞台は‘80年代のチリ。実際の選挙キャンペーンで起きたことを、史実をなぞり
実際の映像を交えながら描いています。初め、ずいぶん荒い映像だと思ったのですが
実際のの映像と、俳優たちの映像の間にギャップがなく、本当に当時にいるような感覚になります。
ネットで探し、たくさんのカメラを購入したそうですが、それでも2時間以上動くカメラは何台もなかった
そうです。
また、映画部分に出演している人たちの中には、当時のキャンペーンに本当に関わった人達が
出ています。キャンペーンの歌を歌っている女性コーラスの人達は、当時本当にその歌を歌った人達
だそうです。ガエル・ガルシア・ベルナル演ずる、広告業界のレネ・サアベトラ。彼には2人の実在の
人物が投影されているそうですが、その二人は映画の中では"Si"(Yes)の陣営の人として
映画に出演しています。
日本では、ピノチェト政権がどのようなものだったか、あまり知られてはいないと思います。
欧米では、アムネスティ・インターナショナルが非難し、クラッシュやスティングが歌に取り上げたり、
ハリウッド俳優たちがキャンペーンに参加するなど、政権下で起きた虐殺・拷問・強制収容などで
アメリカに担がれ、政権を握った人のようです。そして、暴力・弾圧・統制による厳しい独裁者として
16年にわたってチリを支配しました。
今や高い経済成長を遂げた、チリ。この時代を過ごしてきた人達が、この映画を見て、
今も世界のどこかで起きている事を見て、何を思うのでしょうか。
ラライン監督やガエル・ガルシア・ベルナルは、別の映画の撮影に入っており
日本にこれなかったことを残念に思っていると、ダニエルさんがおっしゃっておりました。
「アモーレス・ロス・ペロス」で初めてスクリーンでお目にかかりましたが、よい俳優になりました。
とはいえ、この方イギリスの名門学校で演技を学び、ご両親もメキシコの俳優であるという
結構なサラブレッドなのであります。ハリウッド映画にも時々登場していますが、やはり
スペイン語圏の映画のほうがしっくりきていると思います。「天国の口、終わりの楽園」とか
チェ・ゲバラの若かりし頃を演じた「モーターサイクル・ダイアリーズ」はお薦めです~。