紀元前の昔、モンゴル高原から馬に騎乗して現れたのは、漢族の世界では
”匈奴”とよばれる人たちです。それまで、馬に車を轢かせることしかなかった
人々にとっては、馬に直接乗って騎射をする人々にどれだけ驚いたことでしょう。
実際騎乗を始めたのは、スキタイという古代に繁栄した白色人種系の民族ですが
匈奴とは文化的な交流もあったと思われ、騎乗と青銅器を使うことによって
強大になったらしい。
匈奴がモンゴル人の直接の先祖とは言いがたいようですが、
モンゴル高原で遊牧を営んで来た人々は、何千年も変わらぬ生活をしていたと
言っていいでしょう。
モンゴルの人たちは、日本人に比べてガタイがいいように見えます。
平均身長としては日本人の方が高いようですが、骨格が違うのか
筋肉の質が違うのか、体の厚みが違う気がします。
それもそのはず、この遊牧生活、自らの腕力がものをいう。
竿の先に紐がついたようなもので馬を追い、馬と速度を合わせながら
馬を釣るかのように捕まえる。
子供達が自転車に乗るように、軽々と馬を操る様を見ると、幼い頃から
体幹が鍛えられているのがわかります。
農耕民族の日本人とは、体の作られ方が違うような気がします。
またまた司馬遼太郎の「モンゴル紀行」の話になりますが、
ゴビへの章で、騎馬について書かれたところがあります。
まだ、社会主義時代の話でありますが、この目で見た馬と人との
場面がそのままのように描かれています。
時代が変わっても、社会が変わっても、モンゴル人と馬の関係は
本当に何千年も変わらないのかもしれません。