オーストラリアのクーパピディが舞台のファンタジーです。クーパピディは
オパールの採掘で有名な所。荒涼とした大地に、白い築山がポコポコ。不思議な風景が
広がります。
オパールの採掘で一山当てるという父の夢の為に、メルボルンからやって来たウィリアムソン
一家。街ではよそ者あつかい。居心地の悪い思いをしています。末娘ケリーアンは現実に馴染めず
“ポビーとディンガン”という空想のお友達だけにしか心を開けません。アッシュモアは、そんな
妹がうっとうしいようでいて、とっても心配なやさしいお兄ちゃん。
空想の友達って言うと、大島弓子の「F式蘭丸」を思い出します。こちらは、もうちょっと
年上の高校生の話ですが。人は現実と折り合えない時に、心の中で調整機能を働かせるので
しょう。主人公は、蘭丸を作り上げることによって、心のバランスを取ろうとします。
崩壊の寸前で、友人の1人が蘭丸を認識し、主人公の悲劇が回避されることとなります。
ケリーアンの場合はポビーとディンガン。彼女の言動のおかげで、事件に
巻き込まれてしまう家族や、戸惑っている街の人々も、彼女の空想を受け入れてくことに
よって、幸せになっていきます。空想だと思っていた2人が、まるで生きている
人間のように存在し、周囲の人々に影響をあたえていくのです。
人間は、他の人の話に耳を傾けることが必要なんですね。“他”を受け入れる優しさが
社会にも必要だなあと思いました。
監督は、「フルモンティ」のピーター・カッタネオ。すてきな人間ドラマです。