こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

ホテル・ルワンダ

この映画、日本では上映の予定が立っていなかったのですが、映画好きの人がネット上で署名を集めてなんとか上映にこぎつけたという映画です。1月に上映を開始。当初渋谷のシアターNだけの上映だったのが評判を呼び、現在都内で3館の上映となりました。今年上半期、単館上映では一番のヒット作となるのではないでしょうか。こんなことあるんですね。

舞台は1994年内紛中のルワンダ。この国にはツチとフツという二大部族が存在します。この2つの部族は、元々生活の糧が農耕か牧畜というだけで、言葉も宗教も同じ。両者の関係はそれほど悪くなかったようです。しかし、ベルギーが植民地時代に支配側に立っていたツチを優遇。独立後、世界情勢の流れから民主化が迫られている時に、打って変わってフツに援助をしたそうです。同じ言葉を喋り同じ土地で暮らしてきた人たちが、振り回され憎しみ合い、狂気に変わっていく。結局、大国は何の利益ももたらさない小国ルワンダに無関心。UNもボランティアもジャーナリストも無力。“民主化”という理想は、空々しいものでしかありません。

隣人たちが殺しあう中で、ベルギー系のホテルの支配人であるルワンダ人は、ホテルに逃げ込んできた人たちを保護します。彼は一流ホテルの支配人として、欧米の文化や豊かさを享受しつつ、賄賂の横行するルワンダの社会を利用しながら、生き抜いてきた男。でも、結局彼は“アフリカ人”。UN将校が自分の無力を恥じて、彼に語る言葉が心に痛い。国際社会に見放されて、むごい光景を目にしながら、家族や彼を頼ってきた人たちを守ろうとします。最近、「品格」という言葉をよく耳にしますが、彼の行動こそ、品格のあるものだといえるでしょう。

この映画を見なければ、ルワンダに何が起きたかなんて知らずに過ぎてしまうでしょう。何かを知るきっかけになるというのも、映画の良いところ。重いテーマですが、決して希望のない映画ではありません。見てください。