ジム・ジャームッシュのロードムービー。元プレーボーイの中年男が、差出人のないピンク色の
手紙を受け取る。20年前の恋人が彼の息子を産んでいたことが書かれている。近所のおせっかいな
友人のお膳立てで、そのころ付き合っていたと思われる5人の女性を訪ね、真相を突き止めようと
するが...というお話。
男は淡々としているようで、実は真実を知りたがっている。でも、ほんとのところ、昔の恋人たちに
会ってどんな思いだったのか、彼の表情から計り知れない。今の恋人に対しても、ほんとの
気持ちは現れない。だだ整然とした、薄暗い彼の部屋が彼の孤独を物語るだけ。唯一彼の
感情が表面に見えるのは、死んだ恋人の墓の前と息子ぐらいの青年に出会ったとき。
過去より現在が重要だといいながら、置き去りにしてきた過去にとらわれる。自分の衰えを
おそれながらも、新たに出会った女性を見つめずにいられない。きっと、ある程度の年齢になった
オジサンなら、感情移入できる人物なんだろうな。
