こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ラスト・キング・オブ・スコットランド」 The Last King of Scottland

実在のウガンダ大統領アミンを描いていますが、ストーリー自体はフィクションです。ウガンダに派遣された若き医師ニコラスは、アミンの周辺にいた何人かの外国人をモデルにしているようです。何しろ、このニコラス君、大学卒業して医師になりたて。学校やら両親から開放され、何ひとりで盛り上がってんだか、若さという名の根拠の無い自信と冒険心をエネルギーに、世間しらずのままウガンダにやってきてしまいます。アミンに取り込まれたのも、自業自得なんじゃないのと思ってしまう、浅はかさなのです。やがて、アミンの暗黒の面に気がついたころには、そこから抜け出せなくなってしまいます。そして、その代償は想像を絶するものといっていいでしょう。

アミン演じるフォレスト・ウィテカーは、この作品でアカデミー主演男優賞を取っています。確かに、人を引きつけパワーを見せる時、無邪気に振舞っている時、心の暗い闇を見せる時、その時々の変化に驚かされます。この俳優さん、いい人やらせるとホントにいい人に見えるし、悪い人やらせるとホントに背筋が凍ります。(時々笑福亭鶴瓶に似ていると思うのは私だけだろうか。)

最近アフリカがらみの映画が増えてきていますが、私たち日本人にはアフリカは遠く、知らないことがたくさん。過去が語られるようになったとはいえ、傷が癒えず、負の遺産清算できないでいる人たちもたくさんいるのでしょう。でも、映画によって、社会や世界のことを知るきっかけになる。これも、出会いだと思います。この映画自体は、欧米人からみたアミン時代であり、社会的告発というよりはエンターテイメント。でも、精神的緊張感たっぷりで、体がこわばることうけあいです。