こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「主人公は僕だった」 Stranger Than Fiction

今日を生きること、自分の考えで生きることを、奇想天外で皮肉を込めて教えてくれる
映画だと思います。

国税庁の職員ハロルド・クリックは、真面目で几帳面な男。毎日一秒一挙手一投足狂わぬ生活を
送っています。ある日、自分の頭の中で女の声がするのに気づきます。その女の声は、ハロルド
自身の生活を描写しているのです。自分の頭の中の声のことを調べるべく、医者や大学教授の
助けを借りようとしますが、なかなか事実がつかめない。そんな中で、納税調査のために訪れた
パン屋のアナ・パスカルに出会います。自分の人生が変わろうとしていた矢先、声の主を発見。
彼女はスランプ中の悲劇作家、カレン・アイフルだったのです。自分が執筆中の物語の主人公が
実在することを知ってうろたえます。カレンは物語をハロルドの死で終わらせるつもり
だったのです。

ハロルドほどではないけれど、自分では気づかずにルーティンからはみでず、自分の殻の中で
生活している人って、多いのではないかと思います。だからこそ、こんな変わった物語でも
主人公に思いいれることができるような真実味があるのだと思います。

ハロルドが自分で殻を破り、自分の意思で人生を選択し始めた時、自分の死を知ることに
なりますが、死を迎えたときの彼の選択とカレンの選択に胸を打たれます。自分の運命を
知りながらも、損得ではなく自分が正しいと思う選択をしたハロルド。人を動かす力は
こういうところにあるのです。

ハロルド役のウィル・フェレル。ほんと、見るからに平凡な男を演じていますが、彼は
アメリカでは人気のコメディアンなんだそうです。カレン役のエマ・トンプソン
いつもは上手すぎで、あまり好きな女優さんではないんだけど、今回のスランプで
プッツン寸前の作家の役は面白かったです。監督は「チョコレート」「ネバーランド」の
マーク・フォスター。ファンタジックな人間ドラマがお好きな方にオススメです。