こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「再会の町で」 Reign Over Me

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2008年、1本目見てきました。

ニューヨークで歯科医としてキャリアにも家族二も恵まれた生活をしているアランは、
ある日街で大学時代のルームメート、チャーリーを見かける。チャーリーは9・11
飛行機テロで妻と3人の娘を失なったダメージで、過去を思い出さないよう、外界と
コミュニケーションをとらず、抜け殻のように暮らしていた。アランはそんな彼を
少しずつ、外の世界に引きだそうとする。

9・11の犠牲者の家族が主題ですが、遺族が抱える現実を描いたという意味で
他の9・11関連の映画とは違った視点があると思います。また、現代人が内に
抱える孤独を描いているともいえるでしょう。誰もが人に言えないものを抱え、
押し潰されそうになっている。アランは、自分の殻に籠ったチャーリーを手助け
することによって、自分の殻も取り除いていくのです。

9・11で受けた人々の心の傷は、決して簡単には癒されることはないでしょう。
精神科やセラピストなどに行くことだけで解決しないこともあるのです。それぞれの
立場の人たちが互いの話を聞き、分かり合う。それが大切だということを教えてくれます。

コメディのイメージを抜け出しつつあるアダム・アントラーですが、家族を失った喪失感に
崩壊してきそうな精神を、現実を忘れることによってぎりぎりのところで保っている男を
リアルに演じています。ドン・チードルも、傍目からは恵まれた生活を送りながらも
孤独を埋められない男がよく似合う。

残念なのは、使われている曲の歌詞があまり字幕に翻訳されていないこと。
殻にこもったチャーリーの心は、彼が青春時代を送った'70年代の曲(ザ・フー
ブルース・スプリングスティーンなどなど)をシェルターにしているかのようでした。