こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「アクロス・ザ・ユニバース」 Across the Universe

リバプールの造船所で働く青年ジュードは、あったことのない父を捜してアメリカに
たどり着きます。そこで、ひょんなことからプリンストン大学の学生マックスと
意気投合。彼の妹ルーシーとも出会う。そして、彼らは時代の波に流されていきます。

全編ビートルズの楽曲で綴られたミュージカル映画ですが、ビートルズの世界と
60年代の社会的背景を持つ青春映画が、違和感なく溶け込んでいます。監督は
ブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」の演出を手掛け、メキシコの
女流画家を主人公にした映画「フリーダ」の監督として、アカデミー賞のノミネートを
受けたジュリー・ティモア。ユニークな映像と色彩が、目の裏に焼きつきます。

楽曲だけでなく、キャバーンクラブを思わせるリバプールのクラブや、映画
"Let It Be"を彷彿とさせる、屋上無許可ライブ等など、場面場面もビートルズ
関わるものとなり、人の名前やセリフにまで、ビートルズに関するトリビア
満載。マニアは大喜びな構成となっています。

ビートルズ世代ではないけれど、ビートルズ好きの私には、あらためて曲を
聞きなおし、新たな発見をしたというところでしょうか。子供のころには
わからなかった歌詞が、成長するにつけだんだん解るようになりました。それは
英語力っていうことだけでなく、年齢的に社会的に自分の立場が変わり、知識も増え、
その頃では見れない視点でものを見れるようになったっていうことでもあります。
また、映画は新たに“ジュリー・ティモアの視点”も提示してくれました。
自分が生身で感じることのできなかった、憧れの'60年代の匂いのかすかな記憶を
呼び起こされました。

でも、ビートルズを知らない人たちでも、大丈夫。胸キュンなストーリーに
マッチしたビートルズの曲に胸打たれること間違いなし。おまけに俳優さんたちは、
とっても歌うまいです。画面と歌と、両方いっぺんに撮ってるらしいです。

ジュード役のジム・スタージェスは、ちょっとポール・マッカートニの若い頃似。
ビートルズの中にある、純粋で情熱的なポールの色を彼が演じているといえましょう。
マックスは、中産階級の恵まれた息子であるということを除けば、皮肉屋で社会的な事に
対してどこか斜めに構えているジョンの色といえましょう。

個人的にはセディとジョジョのカラミが良いです。なぜか切なくて。大人の男と女。
でも、お互い傷つけあうこともある。生身な感じがいい。彼らのライブもかっこいい。

最後は皆で歌いましょう。"All You Need Is Love"!!