こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「レスラー」 The Wrestler

2008年 アメリカ・フランス作品
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ロークマリサ・トメイエヴァン・レイチェルウッド

80年代に人気レスラーだったランディ(ミッキー・ローク)は、20年後もアルバイトで
食いつなぎながらなんとかプロレスを続けていたが、長年使用してきた薬物がたたり、
心臓発作で倒れてしまう。一人娘との関係を修復しようとしても上手くいかず、顔なじみの
ストリッパー、キャシディ(マリサ・トメイ)とも上手くいかない。そして、危険を分かって
いながら、自分の居場所、リングの上に戻って行く。

人生の半分ぐらいを超え、あと戻りができないという感覚に見舞われる今日この頃。
盛りを過ぎてボロボロになったプロレスラー、ランディと、いい歳のストリッパー、
キャシディの不器用な生き方にどこか自分を重ねてしまいます。

ミッキー・ロークといえば、'80年代に一世を風靡したセクシー俳優でしたが、
その後の転落ぶりはまるでこのランディそのもの。まさに、彼のための役だったのでしょう。

プロレスなんてあまり見たことはありませんが、興行とはいえ、ショーとはいえ、
自分を傷つけて流血したり、ホチキスを打ったり、リングの上で体を張った格闘に、
思わず肩に力が入ってしまします。まさに体を張った演技。そして、自分の人生と
上手くつきあっていけない、悲しい男の涙。微妙な表情も見せてくれます。

体を張ったといえば、マリサ・トメイ。40半ばにして、ストリッパー役ですよ。
ほんとにウソのない、胸もお尻も一切隠さない、切ない中年女の演技です。立派。

映画が終わって、拍手が起こりました。新橋に近いその会場には、丁度そのくらいの
年齢の男性たちが多かったんです。なんか、切ないなあ。

でも、この映画はベネチア国際映画祭金獅子賞をはじめ、数々の映画・俳優賞を獲得。
ミッキー・ロークは復活を遂げました。おじさん達、花は咲きますぜ。