こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「浮城」 Floating City

平行線をたどるばかりで、ちっとも先の見えない日中関係。様々な文化交流にも支障がでてきている
ようですね。
 
エンターテイメント業界では、エリック・ツアンさんが、「金田一少年の事件簿」に出演することを辞退したり、
トニー・レオン主演予定の日本映画も雲行きがあやしくなりそうな状況です。
 
ところで、最近JALの機内映画中、2本ぐらいは日本でまだ紹介されていないアジア映画の上映があります。
今回の香港線では、こちらの映画をみることができました。
 
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2012年 香港作品
監督:イム・ホー
出演:アーロン・クォック、チャーリー・ヤン、アニー・リウ
 
貧しい水上生活民“蛋民”の布華泉。西洋人のような顔立ちで、家族のだれにも似ていない。
キリスト教の神にふれ、「漁師に学問は必要ない」という父親の反対を押し切って、20歳を過ぎてから
学校に通い始める。父親が台風で命を落とし、借金ばかりが残されてしまい、家族のために
奮闘する華泉。雑用係として働き始めた東インド会社で次第に認められ、重役にまで上りつめていく。
 
この話、“真人真事改変的故事”ということで、実在の人物をモデルにしたストーリーのようです。
香港社会のなかでも特殊な存在であった水上生活者であり、自分の出自もわからず、
中国人としても、西洋人やエリートのなかでも、自分の身の置き所が今一つわからない
布華泉という存在が、貧しい50~60年代から成長を遂げる'90年代、そして返還までの
香港を象徴しているようにも思えます。
 
ただし、ただの成功物語というわけではなく、自分のアイデンティティや生みの親、育ての親、
兄弟姉妹、家族へのの回帰というところを深く感じる映画でした。
 
この映画、本年の東京国際映画祭で上映されるはずだったのですが、製作者サイドの意向により
上映中止ということになってしまいました。現在の外交問題が影響しているかどうかは
不明ということですが、残念です。