こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

2017年 89th アカデミー賞候補作に見る映画のリアリティ

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論文のような題名でなんですが、このところアカデミー賞(候補)映画を
たてづづけに見たので、思ったことを書き散らしてみます。

ラ・ラ・ランド」LA LA LAND
 映像と音楽は、ミュージカル映画はかくあるべしといったような趣なんだけど
実はそんなにファンタジックなストーリーではないんだなあ。成功を目指す
若い男女の関係が今時な感じなのがリアルでした。
 見た男性陣は、”やっぱり女は裏切る”っていうんだけど、そうなのかなあ。
成功までの過程で得たもの結果としては現実的。最後のもう一つの人生の
映像と音楽がが美しすぎて切ない。

「ムーンライト」MOONLIGHT
 マイアミの貧困地区の子どもたちの現実は厳しい。少年は黒人で父親はおらず
母親はジャンキー。ましてや自分が好きなのは、同級生の男の子。彼が彼のままで
受け入れられる場所はない。
 主人公の少年期・青年期・成人期が淡々と描かれており、多くは語らないけれど
役者の表情が内面を語っています。こんなハリウッド映画はみたことない。
大の男がこんな表情をするのかと思ったのは、「ブエノスアイレス」以来かと。
故郷に帰る主人公の車とともに”Cucurrucucu Paloma"がそれを連想させたの
かもしれませんが。

「Lion 25年目のただいま」LION
 これは事実をもとに作られた話なんだけど、一番ファンタジックにも見える話。
オーストラリア人に養子になった子供が、大人になって現代の知恵を駆使して
自分の生まれ故郷を探し当てるっていうのもそうだけど、子供が迷子になって
何千キロも旅をしてしまうという状況自体が、日本人の私らにとっては
現実離れしてるようにも見える。でもでも、一番泣けました。登場人物の
心の動きがリアルに丁寧に描かれていました。
 友達が原作を翻訳してて、なんで映画の題名が”LION”なのかわからないって
言ってたけど、映画を見てわかりました。
 ああ、タスマニアに行きたいな~。

 これは、現実が辛い。辛すぎる。子供3人を火事で無くした男が
兄の死で、その事故があった故郷に戻ってくる。過去は彼を襲い、
彼は辛い過去をを思わざるを得ない。
 でも、乗り越えられない不幸なんて、癒されない傷なんてない、なんて
甘いことは言わなない。それを抱えて、これからも生きていく。
これが、この映画のリアリティ。
 それぞれの人物が決して大げさでなく、現実にいる人のような実感をもって
現れます。私があの人物だったら、あの人だったらどういう行動をするだろう。
いろんなことを考える映画でした。

さあ、皆さんはどれがお好みかな?