こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

プルートで朝食を

かつては女性に大人気だったイギリス映画。最近はイケメン映画も少なく、ドラマ性の
高い映画が公開されることが多く、どんな客層がと思いきや、銀座シネスイッチの金曜日
レディースデイのためか95%以上女性で、お立ち見も出ていました。オマケに紅茶と永昌源
ライチ酒までいただきました。レディース・マーケティングなんでしょうか。この映画館、
金曜日はほんとにいつも女性で混んでます。

お話の背景は、1960-70年代北アイルランドの国境に近いアイルランドの町とロンドン。
少年は神父と家政婦との間に生まれた望まれぬ子。養子に出されるが、養子先に馴染めず、
自分の性癖を理解されず、本当の母を求めて家を飛び出す...っていうと暗い話に聞こえ
ますが、映画のトーンは妙に明るくファンタジック。というのも、主人公の“キトゥン”
どんな状況にあっても自分自身を見失わず、完全に自分の世界に生きちゃってるのです。
IRAのテロ活動に巻き込まれようが、人に利用されようが、なんのその。彼は、暖かい
家庭も知らず、自分の心に見合った容姿も手に入れられず、自分自身以外何も持たずに
生きている。自分の不幸を笑い飛ばしながら、ドラマチックなストーリーに仕立てあげる
ことによって、自分を守っていたのかもしれません。ニール・ジョーダン監督が「クライ
イング・ゲーム」で描いた、もう1人の“トランス・セクシュアル”な主人公とは違い
ずいぶん前向きだし、希望があります。

「自分らしく生きる」なんていうのは、今時は“下流”思考の人が言うことなんだそうですよ。
でも、この時代は皆それを求めていたんじゃないかなあ。この映画はキトゥン自身の個人的な
物語を描いていますが、時代背景とかファッション、音楽をあわせてみると、そんな気が
します。それを思うと、「自分」を探したり、求めることが出来ない今の人たちは、
ちょっと不幸なのかも。

時代といえば、かつてのグラム・ロックのカリスマ、ブライアン・フェリーが不気味な
殺人狂おやじとして登場します。我が目を疑いました。映画初出演です。