こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「裏町の聖者」 流氓醫生

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1995年香港作品 
監督・製作・脚本 : リー・チーガイ
出演 : トニー・レオンラウ・チンワン、アンディ・ホイ、
     アレックス・トウ、クリスティーン・チョン

前回に引き続き、UFO製作作品です。UFO系のの作品は、香港の映画業界が斜陽だった
90年代に、ベテラン俳優エリック・ツァンが若手監督を起用して、粒ぞろいの映画を
撮っていました。ヒューマン・ドラマ中心で香港映画らしくない、って思っていた方々も
いたかもしれませんが、私は大好きでした。香港映画見始めてまだ日が浅かった頃の
新鮮なときめきを思い出します。

さて「裏町の聖者」、実は日本の漫画「DR. クマひげ」が原作なのです。最近でも
頭文字D」とか、日本の漫画原作の作品がありましたが、香港では日本の漫画が
ずいぶん前から浸透していたんですね。

主人公の医者、ラウは(クマひげと言うにはずいぶん優男のトニー・レオンですが)
酒とバクチと女好き。優秀な医者ではありますが、理由あってヤクザや娼婦や貧しい
人々が住む町で開業医として働いています。彼を慕ってやってくる近所の患者たち、
若い研修医、医者志望の女子高生、娼婦に恋する警察官と、彼の恩師、元同級生と
その恋人など、彼を取り囲む人たちの人間模様が描かれています。

この映画を見ていると、香港の社会の多様性を感じることができます。ラウが開業して
いる地域には、大陸から来た娼婦やヤクザ、食い詰めて路上で生活する人など、社会の
底辺にいる人たちが沢山生活しています。そんな人たちを助けたいと思っている
キリスト教の牧師さんもいる。そうかと思えば、麻のスーツの紳士と、ゆったりした
シルエットの胸の開かないドレスに帽子をかぶった淑女が集まる、英国風パーティに
やってくる上流階級の人たちや、ラウの親友ゾウに象徴されるエリートの人たちよう
な人たちもいる。彼らは初めから、立っている場所が違うであり、交じり合うことの
無い世界のようでもある。そんな社会であっても、それぞれの登場人物が抱える問題は
愛や憎しみ、あこがれや妬み、生と死といった、立場が違えど同じ人間の本質にあるのです。

トニー・レオンのいつものあの“物言う目”と、この映画ではちょっと男臭い無精ひげで
女性はくらっとくること間違いなし。ラウ・チンワンは隠した“まゆげ”勝負です。
映画出演はあまり多くないアレックス・トーは、嫌味なエリート医師を好演してます。
ステキな主題歌"SINCE I FELL FOR YOU"も、アレックスです。アンディ・ホイは、
純粋で純朴な若手医師。この人の映画はあまり見たことないけど、こういうキャラは
はまりそうですね。クリスティン・チョンは最近あまりお目にかかりませんね。
むっちり、ぽっちゃりの唇が男心を誘うのでは。「人魚伝説」かわいかったもんね。
ロー・ガーインおじさんは、笑いを取る役ではなく、真面目一途な牧師さんです。