こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「オーケストラ・シート」

昨日から始まった東京国際映画祭ですが、協賛企画として東京国際女性映画祭があります。
(http://www.iwff.jp/)

女性監督の作品を集めた映画祭で、そのうちの一本を見てきました。

2006年フランス作品
監督:ダニエル・トンプソン

コンサートホールとシアター、美術品の競売所、こじんまりとした一軒のカフェが隣接する
パリの一画。TVドラマの人気女優。有名男性ピアニスト。美術収集家の年老いたお金持ちと
その息子。シアターの管理人女性。そんな人たちが集まるカフェで働く、田舎から出てきた
ばかりの若い女の子。それぞれの人生が少しずつ交錯していく群像劇です。

みんなそれぞれの悩みがあります。女優は、くだらない昼ドラから足を洗って文芸映画に
出たいと思っているし、スケジュールにしばられたピアニストは窒息寸前。自分の死について
考え始めた収集家は、亡き妻とともに生涯かけて集めた美術品を全部競売にかけようとして
いる。その息子は、父との関係を修復できないでいるのです。

彼らの人生に少しづつ関わる若いウェイトレスは、天使か妖精のような役回り。とはいえ、
そんな彼女もいろいろあって、パリに出ているのです。そんな中でも、都会で初めて出会う
人たちの人生を、彼女なりに前向きに吸収していきます。

それぞれの人生を優しく見守るかのような、そんな視点で描かれた映画です。誰かに
感情移入して、笑って、ちょっぴり切なくなって、最後は未来が見える幸せにはまれます。
中に出てくるブランクーシの彫刻、「接吻」のような幸せ。