こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

東京国際映画祭 「Dog Bite Dog」 狗咬狗

2006年 香港作品
監督: ソイ・チェン  製作: 松下順一
プロデューサー: 米山紳、サム・レオン
脚本: セット・カムイェン、マット・チョウ
出演: エディソン・チャンサム・リー、ペイ・ペイ、ラム・シュー

火曜日見た作品です。この日はティーチインなしでしたが、今日の上映ではあったはず。
生エディソン見そびれました。

<あらすじ>
香港のレストランで起きた殺人事件。警官のワイとリンは、怪しい男、パンを
追い詰めるが、一般人を人質に取り、人質とリンまで殺して逃走する。パンは
逃げ込んだ先はごみ埋立地。父親に乱暴される娘ユーを助ける。孤独な2人は魅かれあい
カンボジアに逃亡。田舎で静かな生活を送り始めるが、パンに同僚を殺され
自分も瀕死の重傷をおわされたワイが、彼らの前に現れる。

監督のソイ・チェンは、リンゴ・ラムの愛弟子で、ホラーに定評がある方だそうです。
ホラーは見ないので、監督の作品は見たことがありませんでした。2004年の東京国際映画祭では
「愛・作戦」が上映されています。

製作陣の松下順一、米山紳は、サム・レオン監督作品に名前を連ねる方々です。
そして、この映画、サム・レオン監督作品の流れを継ぐかのように、人間の深くて
暗い闇と孤独を、暴力と生命で描いています。

主人公達は、それぞれ心の闇を抱えています。孤児のパンは、生き延びるために相手を
殺さなければならない宿命にあります。警官のワイは、優秀な警官として尊敬していた
父が麻薬取引をしていたことを知り、父を撃ってしまったのです。父親は一年も昏睡状態
ですが、その父の秘密を1人胸に抱え込んでいます。ユーは、家族とともに大陸から流れて
きたが、母親の死が父親を狂わせ、父親の暴力におびえる日々を送っています。3人の運命は
交差しますが、お互いの闇を知ることはありません。ただ、自分と自分の愛するものの
生死をかけて、最後まで暴力にかりたてられていくのです。

なんだか哀しいくも恐ろしい話ですが、女は生命を生むことができるだけ、救われる存在
なのかもしれません。“人は誰かの命を犠牲にしなければ生きていけない”っていうのが
「命の食べ方」みたいって思うのは、この映画の見方としては正しくないのかもしれませんが
人間は本当に罪深いですね。

エディソン・チャンって、心の闇とか心の奥底に何かを抱えてるタイプの役が意外と合ってますね。
奇麗な顔の奥から見える冷たい表情が、そうみせるのかも。サム・リーも、いつものコメディとは
打って変わって狂気をはらんでいます。2人の配役、逆もありかなとも思いました。