こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「スキャナー・ダークリー」 A Scanner Darkly

久々に、ぞくぞくするSF映画です。原作は、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」
(「ブレード・ランナー」の原作)のフィリップ・K・ディック。彼の作品には
映画化されたものが多いですが、映像的イマジネーションを刺激する作家なのだと
思います。監督・脚色は、「恋人までのディスタンス」から「スクール・オブ・ロック」まで、
多彩なリチャード・リンクレーター。

今から7年後の世界。"D" という、左右の脳を分断し損傷を招くという最悪なドラッグが
はびこっているロサンジェルス。政府は犯罪を監視するために、いたるところから
人々の生活を監視している。麻薬捜査官ボブ・アークターは、麻薬の供給元を調べる
ために潜入し、自らもドラッグに犯されていく。

映画とはいえ、実写をトレースしてアニメ化するというロトスコープを使用しているため
映像そのものはアニメーションのタッチです。妙にリアル現実感があり普通の
アニメとは一線を画すものです。しかし、これは監督の撮り方・造り方なのかも
知れませんが、物の位置が定まらずスライドしていくようだったり、人物が浮遊して
いるようだったりして、夢の中であるような気もする。私はこの映像にやられて
「ウェイキング・ライフ」ではすっかりおネムになってしまい、映画の内容が
すっぽりぬけてしまいました。

しかし、今回は大丈夫。最初は、麻薬潜入捜査官の二重生活と分裂、どうしようもない
ジャンキーたちの話がちょっとだるいかなと思ったけど、夢か幻か、だんだん確かで
なくなっていく自分の意識においつめられ、最後にこうきたかという暗くて孤独な
救いの無い落ちがくる。後を引きます。

キアヌ・リーブスは、こういう生活感や現実感の無い役をやると、みごとに
はまりますねえ。ロバート・ダウニーJr、ウディ・ハレルソンウィノナ・ライダー
確かにアニメ的。大げさな大作SFに飽きてしまっている方、オススメです。