こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「チェンジリング」 Changeling

1920年代のロサンゼルルス。シングル・マザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、息子が行方不明になって数ヶ月後、警察から子供が発見されたと連絡を受ける。しかし、その子供は自分の息子ではなかった。>

あまり耳慣れない単語ですが“Changeling”とは、“取り代え子”のこと。帰って来た子供は、どう見ても自分の息子ではない。そんなこと、母親ならば当たり前にわかるはずのことなのに、警察は信じてくれないのです。

救いのない状況で、彼女はただ、自分の息子を取り戻したい一心でした。しかし、それが彼女の戦いの始まりとなります。彼女を通して、警察の腐敗、女性に対する偏見、精神病に対する認識、猟奇殺人等、様々な社会問題が浮かび上がってきます。‘20年代の話とはいえ、本当にあった事件だと思うと、胸が痛くなります。

重いテーマの映画です。しかし、演出過多の息苦しさは無く、お涙頂戴の映画にもなっていないところが、クリント・イーストウッドの腕だと思います。抑えた色調の画像が、淡々と物語を綴っていきます。

20年代のノスタルジックなロサンゼルスの風景が、なかなか見ものです。実写とCGで合成されてはいますが、遠景と近景が違和感無く繋がれています。路面電車とT型フォードが走り、フェミニンなワンピースに帽子を被った女性や、パリっとした三つ揃いのスーツの男性が闊歩し、貧しげな少年が新聞を売る街。作り上げたセットにありがちの、けばけばしさがありません。本当に、その時代で、その事件を目撃したかのような気になりました。