こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「真心話」 真心話

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1999年 香港作品
監督・脚本:イー・トンシン
主演:ピーター・ホー、ファン・ウォン、チン・ガーロッ

4/18から5/8まで、シネマート六本木で開催されているイー・トンシン監督特集。やっと時間ができて
行ってきました。

イー・トンシン監督といえば、'90年代に「つきせぬ思い」「フルスロットル~烈火戦車」といった
ヒット作を生み出しています。プロデューサーの父、女優の母、ショウ・ブラザースの大スター
デビッド・チャンと個性派俳優チョン・ブイを兄に持ち、自らもショウ・ブラザースから俳優として
デビュー。恵まれた環境とキャリアを持った方ですが、不遇の時代もありながら、自らの感性を
捨てずにやってきた方という印象があります。

「真心話」は、主役に新人を起用した低予算映画でしたが、当時批評家からの評判もよく、
ピーター・ホーが一躍有名になった映画でもありました。

サム(ピーター・ホー)は、シンガポールで大学を卒業したあと、香港のゴシップ雑誌で
記者として働いているが、育ちの良いお人よし。街で見かけた不良少女ザン(ファン・ウォン)を
取材することになりますが、次第に彼女の生活に巻き込まれていきます。

サムは、香港人の目からみたら、お人よしである以上に傯傯地(まぬけ)で単純な男に違いない。
何しろ映画館で「恋する惑星」見て、重慶マンション行っちゃうぐらいだから、お気楽な
日本人観光客とそんなに違わないんじゃないかって思うくらい。

でも、世の中、こんな人がいてもいいよねえと思わせてくれます。最初は戸惑うザンですが、次第に
心を開いていきます。でも、なかなかそれぞれが、自分の思いを素直に話せず、誤解が波紋を呼んで
いきます。そして、厳しい現実に向き合わずにいられなくなるのですが。

他愛無い恋愛映画のように思われますが、虚無感、自分探しといった若者特有の問題や、家族の
問題をを取り上げるとともに、ドラッグのような社会問題もかかわってきます。このテーマは
この先のイー監督の作品にもたびたび取り上げられています。

この映画から10年後、ピータ・ホーはすっかりTVドラマの人気者になり、日本のドラマにまで
出演してしまいました。そして、イー・トンシン監督は「新宿インシデント」で、ジャッキー・
チェンにアクションぬきのダーティな役をやらせ、社会のダーク部分をを描きました。
誰が10年前に想像したことでしょう。何が起こるか、この先まだまだ楽しみです。