こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「冷たい雨を撃て、約束の銃弾を」 復仇

2009年 フランス・香港作品
監督 : ジョニートー     脚本 : ワイ・カーワイ
主演 : ジョニー・アリディー、シルヴィー・テステュー、
      アンソニー・ウォンラム・カートン、ラム・シュ、サイモン・ヤム
 
イメージ 1
 
北野武の作品がヨーロッパでの評価が高いように、香港を代表する映画監督であるジョニー・トーも、
ヨーロッパでの評価が高いようです。映画祭でも特集を組まれたり、コンペ部門に公式参加。この作品は
2009年カンヌ映画祭のコンペ部門にも正式出品されています。昨年日本でも公開され評判を得た
「エグザイル・絆」は、ハリウッドでのリメークも決定されているようです。
 
この「冷たい雨を撃て」は、その名の通りガン・アクションたっぷりの香港ノワール作品。男の美学と
血しぶきたっぷりのジョニー節炸裂作品でありますが、今回はフランスが出資。主演もフランスの
国民的歌手、ジョニー・アリディを迎えています。でも、彼らもすっかりジョニーの色に吸収されたと
いったところのようです。
 
見に行ったのは、新宿武蔵野館、土曜の7時の回。8割方埋まった席に、観客の7割が30代以上の男性という
観客層。やっぱり、こういうノワール物好きの観客層っているんですねえ。女の目からみたら、ありえねえと
思うような世界。大好きなんですねえ。しがらみを超え自分のスタイルを貫く男たちの、熱い世界。
確かにかっこいいとは思いますが。
 
マカオに住む娘一家を惨殺されたフランス人コステロは、瀕死の娘に会い、復讐を誓う。
なれない異国の地で、地元の殺し屋を雇う。かくいうコステロも、かつては殺し屋家業だった。
以前に頭に受けた銃弾の影響で、徐々に記憶を失っていくコステロ。復讐の意味すらわからなくなった
男に、はたして復讐は遂げられるのか。>
 
トー監督は、こういったノワール作品から、サスペンス・アクション、スターを使ったラブコメ、武術物、
はたまたオカルトまで、幅広い作品を撮り続けておりますが、ハードボイルド・アクションが突出した
3部作「ザ・ミッション 非常の掟」「エグザイル・絆」の最終章として、この映画を位置付けているようです。
 
ジョニー・アリディは、さすがの存在感ですが、右も左も言葉もわからない、人の顔すら見分けがつかない
異国の地で心細そうにしている様が、なんともせつない。
 
マカオの殺し屋3人組。いつもの通りの親分肌のアンソニー・ウォン、おデブでひょうきんなラム・シューの
他に、今回は若手としてラウ・カートンが参加しています。このハードボイルド最終章に、フランシス・ン
ロイ・チョンの姿が見えないのは、ちょっとさみしいです。彼らの不在が、この作品の奥行きのなさのような
気もしないでもない。トー監督は、彼らにも声をかけたようですが、スケジュールが合わなかったらしいです。
残念。
 
娘役のシルビー・テステュー、どこかでみた女優さんだと思ったら、「ビヨンド・サイレンス」という
ドイツ映画で、聴力障害の両親の元に育ち音楽を志す少女健気にを演じていた女優さんでした。
こんなとこでお目にかかれるとは!映画は国境を超えるのですねえ。
 
毎年コンスタントに、さまざまな作品を仕上げてくれるトー監督。もうちょっと日本でやってくれるといいんだけど。
製作された作品数からしたら、日本での上映作品はあまり多くありません。最近「スリ」「エレクション~
死の報復~」がビデオ発売されています。ぜひ、この機会にトー・ワールドをご体験下さい。