こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ものすごくうるさくてありえないほど近い」Extremely Loud and Incredibly Loud

2011年アメリ
監督:スティーブン・ダルトリー
           バイオラ・デイビス

9.11に父を失くした少年オスカー。繊細で世の中と上手く折り合えない彼にとって、
友であり師である父の死を乗り越えるには、あまりにも大きな壁が立ちふさがっています。

愛する者の突然の不条理な死。言えない思いに心を閉ざし、自分の殻に閉じこもるオスカー。
自らも言えない思いを抱え苦しみながら、頭の良い、しかし神経質な難しい息子の対応に戸惑う母親。

ポール・オースターの小説のような底なしの静寂な孤独と、堪え難い程の混乱で、映画の前半は
この子どうなっちゃうんだろうと、本当に辛いものがありました。

父親のクローゼットで見つけた鍵で開ける“何か”を探して、ニューヨーク中のブラックさんを
訪ね歩くオスカー。鍵にまつわるの意外な結末が、救いを導いて行きます。人の弱さと強さ、
暖かさ。そして両親の愛情。喪失を克服するには、時間だけではなく、自分の勇気と
人々の助けが必要なのです。

日本人が3.11での喪失から立ち直るには、まだまだ時間が必要ですが、いつかこの映画を見て
自分のたどった道筋や、心の置き所を確認することが出来るのではないかと思います。