こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「運命の子」 趙氏孤児

イメージ 1
 
2010年 中国作品
監督・脚本:チェン・カイコー
出演: グオ・ヨウ、ワン・シュエチー、ファン・ビンビン、ホワン・シャオミン

歴史大作の多い中国映画のなかで、確かにセットも撮影もキャストもスタッフも超一流、
もちろんアクションもありの動的映画ですが、英雄の存在しない、個々の人間と父と子を描いた
内面的な映画でもある作品です。

原点は「史記」中の「趙氏孤児」。時は春秋時代宮城谷昌光が作品「重耳」で晋の文公という賢帝を
描いていますが、その孫景帝の頃のお話です。

自分の子供を犠牲にして、唯一生き残った趙氏の子供を守り、自分の子として育て
自分の妻と子の仇討をさせようとする程嬰。自分が滅亡させた趙氏の子とも知らず、
程嬰の子を我が子のように可愛がる屠岸賈。二人とも、善悪では語りきれない葛藤を抱えています。

程勃として育った趙氏の子供には、趙朔、程嬰、屠岸賈という、実質上3人の父親が
いることになります。父と息子の関係、私は娘なのでその深いところはわかり得ないかも
しれませんが、父親とは息子に自分が生きてきた道を伝え、継承して欲しいものなのかもしれません。
息子は時に憧れ、時に重荷に思いながら、のりこえていく。
母である荘姫は「この子には親が誰で、仇が誰だと教えないで。平凡にいきるように」と
言い残す。母はまた、父親とは違う思いを伝えます。

60を過ぎたようにはには見えない逞しい武将のワン・シュエチーと、年齢不詳の
枯れた仙人のようなグオ・ヨウの演技は秀逸。一個の人間が、置かれた環境のなかで
何を感じるのかがわかります。やっぱり、俳優がいい映画って、いいわ~。