こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「グランド・マスター」 The Grand Master 一代宗師

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2013年 香港・中国・フランス作品
監督 : ウォン・カーワイ
武術指導 : ユエン・ウーピン
出演 : トニー・レオンチャン・ツィイーチャン・チェン、チャオ・ベンジャン、シャオ・チェンヤン
      ソン・ヘギョ、マックス・チャン、ワン・チンシアン
 
初日、行ってきました。前日は、トニー・レオンが4年ぶりに来日してましたね。
トニーの葉問(イップ・マン)がいかなるものか、そしてウォン・カーワイのカンフー映画とは
どんなものか、期待に胸を膨らませながら、行ってきました。
 
確かに、武闘シーン満載です。激しいだけでなく、静かに、舞うように、美しい武術シーンの数々。
 
しかし、これはカンフー映画というよりは武術家たちの内面とか生き方とか、中国16年間の
激動の中での武術家たちを描いたドラマであるといえるでしょう。
 
日中戦争開戦前の、佛山の妓楼の濃厚な香り。そこに集う、わけりな武術家たち。
後進にあとを譲ろうとする年老いた武術家。師の教えに背く弟子。亡き父と宗家のため
女であることを捨て復讐を誓う女武術家。歴史の流れのなかで、国を捨て
家族と離れ、様々な事情をかかえ香港に流れてくる武術家たち。
 
ストーリーはいつものウォン・カーワイ映画に比べれば、分かりやすいとは思うのですが
やはり散文的であり、人物や時間が入り組んで前後するので、追いつきにくい。
 
中国武術については、事情を知らない日本人向けに、「レッド・クリフ」でやったような
前振り解説映像がつきます。形意拳八卦掌を教えている道場に通っている私から見て、
馬三や若梅の技は見覚えあり。詠春拳八極拳は詳しいことは知りませんが
俳優さんたちは、本格的に武術の練習をしたことが分ります。トニーの立ち居振る舞いなど
物静かで優雅である内に、一代宗師として風格を感じます。
 
葉問の人生については、独白もあり、わりと分かりやすく追うことができますが、
ドニー・イェン主演の「イップ・マン」でもある程度把握できるし、比較してみても面白いと思います。
 
葉問と若梅の間の感情の流れは、ウォン・カーワイ節とでもいいましょうか。人生の
一時期一瞬交差した時間。武術の試合であるはずの時が、濃密な恋愛のように見えるのです。
 
そして最後に表れる、Bruce Leeの言葉が深いです。
   
   A true martial artist does not live for.
   He simply lives.
 
その姿こそが、葉問、なのでしょう。