こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「So Young ~過ぎ去りし青春に捧ぐ~」



2013年 中国映画
監督:チャオ・ウェイ    脚本:リー・チャン
出演:マーク・チャオ、ハンギョン、ヤン・ズーシャン、ジャン・シューイン
   チャン・ヤオ、リウ・ヤーソー、ジョン・カイ、パオ・ベイアル

昨年東京国際映画祭で上映された、あのチャオ・ウェイ初監督作見てきました。
原題も「至我們終将逝去的青春」というベタな題名でありますが、
なかなか人がよく描けている映画だと思いました。彼女、映画を撮りたくて
母校の北京電影学院の監督科に再入学して3年勉強。卒業制作として
この作品を撮ったそうです。

だいたい、最近こういう傲慢と繊細が表裏一体となった若者の青春映画って
いうのは、自分の歳のせいかどうも思い入れられないのです。でもこの映画に
ついていえば、個々の登場人物が’90年代の中国の背景とともにリアルに
浮き上がっている感じで見ていて面白かったです。

映画の初めのほうで、大学の学生寮の奥から聞こえてくるのはフェイ・ウォン
「天使」。相部屋に貼ってあるポスターは、レスリー・チャンだったり
マギー・チャンだったり。Suedeも人気。主人公のチョン・ウェイが歌うのは
「それが大事」をハッケン・リーが香港ででヒットさせた広東語バージョン
「紅日」。日本のドラマやAVが人気なんていうのも、映画から垣間見える。

加えて当時の学生事情、一人っ子政策、貧困や地方出身者、少数民族
事情など、独自の問題も見えてきます。

とはいえ、メインは大学生の恋愛話。もちろん、大陸の映画ですから、
政治的な問題には直接触れられてはおりません。この時代の直前に
天安門事件があったなんていうのはみじんも感じられない。
見えるのは、豊かにはなりきれていないものの、まだ少し緩さがある時代。

彼らは若さ故の自己愛からなのか、それとも社会事情ががそれを許さないのか
青春はキラキラした思い出に終わるわけでもなく、歯の浮いたような
happily ever after でもない未来がやってくるのです。厳しい~。

それにしても、中国人の女の子は強いねえ。主人公の女の子なんか
顔は可愛いけど、ジコチュウ激しくってひいちゃうよ。日本の男の子には
無理。あ、その辺に今の日中問題の根底ががあるのかも。

最後に、フェイ・ウォンの歌声。久々に聞きました。やっぱりいいなあ。