こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン」


映画『リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン』予告

Revenge of the Green Dragon  青龍
2014年 アメリカ作品
監督・脚本:アンドリュー・ロー
出演:ジャスティン・チョン、レイ・リオッタ、シューヤ・チャン
   ハリー・シャム・ジュニア、ケヴィン・ウー

1980年代の中国人密入国者と、NYのチャイニーズマフィアを描いた作品として
思い出すのはマイケル•チミノ監督の「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」。
それは当時、人種差別的でありステレオタイプ、性差別的であるとされ
アジア系アメリカ人から抗議が上がった問題作でした。

イー・トンシン監督の「新宿インシデント」も、舞台は日本ではありましたが
同じ頃の中国人密入国者を描いていました。

この映画も、ほぼ同じ時期を描いたものではありますが、事実を
元にしていること、それから30年後に描かれた作品であること、
そしてそれが香港人監督によって描かれたことなど、視点の違う
そして生死ギリギリの環境と過剰なほどの暴力に彩られた
作品となっています。

これが、今の時代にマーティン・スコセッシ製作のアメリカで映画である
ということの意味を考える必要があるのかもしれません。

そして、これはあの「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ作品で
あるということも、記しておきましょう。(最初にUFO製作の見慣れた
画面が。)

それにしても、1990年代にハリウッド映画におけるアジア系人種についての
卒論を書き上げた自分にとっては、今の社会状況というのは
全く想像も及ばないことでした。

映画のストーリーは、拡大していくチャイナタウンの対立する
ギャング”青龍”と”白虎”を中心に、彼らを動かすマフィアや人身売買組織
蛇頭、そしてそれを追いかける警察とFBIが描かれています。

チャイナタウンに出入りしている人たちの、出身地域は様々で
中国人とはいっても、それぞれ皆違う言葉を喋り、違うグループに
属している。でも、アジア系ではない人たちにとって
それはあまり関心のないこと。彼らは、その枠から出なければ
存在しないも同然なのだ。しかし、そこを越える時がやってくる。

事実を基にしているだけ、その壮絶さはリアルなものであることは
間違いないのですが、あまりに非情で目を覆いたくなります。
そして、誰に思い入れることものないうちに、悲しい結果だけが
待っています。

最後は1992年の香港ビクトリア湾の風景と、そして、アンドリュー・
ラウらしいローキーの色合いと、結末が。