「湾生回家」Wansei Back Home
ドキュメンタリー映画『湾生回家』予告篇
2015年 台湾作品
監督:ホァン・ミンチェン
エグゼクティブ・プロデューサー:チェン・シェンルー
今年大阪アジアン映画祭で上映され、台湾でも16万人の人たちが見たという
湾生とは、戦前台湾で生まれ育った約20万人の日本人のこと。
公務員や、企業従業員、農業従事者として台湾に家族で渡っていた人たちの
子供達は、日本のことを知らず台湾で生まれ育ちました。
しかし、敗戦後彼らのほとんどは日本に強制送還されました。
見知らぬ日本の土地に。
ドキュメンタリーの中に出てきた湾生の方々は、ちょうど私の父母と
同じぐらいの昭和ヒトケタ~10年代ぐらいのかたがたです。
敗戦で台湾を去らなければならなかったのは10代のころ。
彼らにとって子供のころ過ごした懐かしい故郷は、台湾なのです。
自分の育った町で、昔の友達を探す人。無くなった日本人の開拓村を尋ねる人。
自分を異邦人であると思い、今の自分を癒すために生まれ育った台湾を
訪れ続ける女性。
皆、理由は様々ではあるものの、望郷の思いは台湾にあるのです。
彼らは、台湾が植民地であるということは教えられた覚えがないという。
そして、彼らは日本に帰ってから差別について考え始めたという。
一方で、日本に帰れなかった人もいます。台湾人家族に養女に出された女性。
その日本人の母のために、母の生母の探す台湾人家族。
彼らがなぜ、台湾のことを思い続けるのか。
台湾の人たちが、彼らを受け入れる懐の深さはどこにあるのか。
そして、台湾の人たちに対して日本は何をしてきたのか。
そんなことを考えながら見ることができました。じわっと心に残る映画です。