こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

TIFF 2017 クロスカットアジア部門 「ポップアイ」Pop Aye


『ポップ・アイ』予告編 | Pop Aye - Trailer

2017年 シンガポール/タイ作品
出演;タネート・ワラークンヌクロ、ペンパック・シクリン
   チャイワット•カムディ、ユコントーン・スックキンジャー
   ボング(象です)

仕事にも家庭にも疲れた中年の建築家タナーは、子どもの頃自分の家で
飼っていた象のポップアイを街で見かける。買い戻したポップアイをつれて、
かつて一緒に育った故郷を目指して旅に出る。

象と人間のロードムービーなんて聞いたことない、タイならではの
映画だと思って選んだのですが、実はシンガポール人の
若い女性監督が描いた作品です。

QAで、カーステン・タン監督は、”ジェンダーとか年齢に関係なく
人間性を描きたかった。かつてクロサワやベイルマンといった
巨匠がそうしていたように。”と言っていました。アジアでも
そういう世代が台頭しつつあるんだなあと感慨深いものがありました。

タナー役のタネさん(そう呼んでと言っていました。)は
実はミュージシャンでロックレコードレーベルのプロデュースなどを
しており、役者としては30年ぶりの復帰ということでしたが、
実物はこの映画の中でのようなくたびれてお腹の出た中年男では
ありませんでした。

この映画のために、10kg  太ることを命じられたそうですが、
食べるのが好きなので楽しかったそうです。毎食後にアイスクリーム
食べながら、監督に向かって"あなたのために食べてるんだよ”って
言ってたそうです。

象と一緒のロードムービーだなんて、ファンタジックな映画なのかと
思っていましたが、タナーも象も出会う人々も、この世の中に居場所のない
厳しい現実に直面している人々なのでありました。
でもどこか、ゆるっと暖かく、ユーモアが感じられます。

そして、出てくる人たちにするっと共感できるのは、監督の演出と
脚本の力なのでしょう。普遍の人間性、それは人類共通のものなのです。

イメージ 1

この象の名前、実はアニメのポパイから取られた名前なんですが
もし、上映後に本家に訴えられたら困るので、Pop Ayeというスペルに
したのだそうです。また、Pop とAye の間のスペースもよかったようです。