こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ファントム・スレッド」Phantom Thread


『ファントム・スレッド』90秒予告編

2017年アメリカ作品

監督:ポール・トーマス・アンダーセン
出演:ダニエル・デイ・ルイス、ヴィッキー・クリープス、レスリー・マンヴィル


ダニエル・デイ・ルイスの久々の主演作にして、引退作といわれている作品。
今まで彼が演じて来たさまさまな顔、彼の役者としての集約を見たような
気がします。

完全なる自分の世界に生きる気難しいオートクチュールデザイナーと、
彼に見出されて彼の世界の中に足を踏み入れた若い女
一筋縄ではいかない、歪んだ倒錯的な匂いがする愛。

こんな偏屈な中年男なのにこの魅力、びっくりしてしまう。

「マイ・ビューティフル・ランドレット」の、社会の下層で生きる同性愛者であれ
「存在の耐えられない軽さ」のプレイボーイ医師のであれ、惹きつけられずに
いられないセクシーさを見せる一瞬がある。

「マイ・レフト・フット」の脳性麻痺のアーチスト、「ラスト・モヒカン」の
最後のモヒカン族、「ギャング・オブ・ニューヨーク」の一風変わったギャングの
ボス、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の実業家、そして「リンカーン」。

様々な顔を見せ、3つのオスカーを受賞。その演技へののめり込み感は
アーチストであり、職人技でもあるというこのウィルコック
通ずるものがあるのかもしれません。

全てのことを自分でコントロールしながら、一つの世界を作り上げていく
という意味では、このウィルコックはポール・トーマス・アンダーセン監督
自身の投影であるのかもしれません。映像も音楽も衣装も完璧。



それから、衣装がほんとに素晴らしいです。全てこのために手作りされました。
そして、映画の中に出てくる女性職人のお二人は、本物の職人さんです。

それにしても、ダニエル本当に引退しちゃうんですかね。
「マイ・ビューティフル・ランドレット」以来のファンとしては、
また青春が一つ終わる感じで寂しいものがあります。

でも、それも彼らしいのかもしれません。今後はどうするのでしょうか。
靴職人?それも彼らしいのかも。