「軍中楽園」 Paradise in Service
2014年 台湾作品
監督・脚本・エグゼクティブプロデューサー : ニュウ・チエンザー
チェン・イーワン
台湾映画の懐の深さを感じるのは、こういう歴史的にセンシティブな
題材を、エキセントリックにならずに提供できるからではないかと思う。
台湾国民軍の中に、「特約茶室」という公娼館が存在したと言う。
戦後40年の間、公然の秘密だった。
ここにいる人々は、男であれ女であれ、自ら望んで来たわけではない。
運命に翻弄されたどり着いた先が金門島だ。
泰雅(タイアール)語、客家語等々の方言指導が入っていた。
そこにいた人たちは、みんな出自が違うのだ。
台湾の近代史の複雑さを物語るものではあるが、
男とか女とかいうことだけでなく、みなそれぞれの
背景があり、通って来た道も違う。
そして、一人の青年が大人になる過程の、私小説的側面。
色々なものが見えるてくる。
センシティブで時には暴力的にもなりそうなテーマを
切なく、時には甘く、美しく描いている。
「モンガに散る」の強烈なスピードとバイオレンスとは
また違う色の作品でした。