こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

TIFF 2018 「彼が愛したケーキ職人」The Cakemaker

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監督・脚本:オフィル・ラウル・グレイツア
プロデューサー:イタイ・タミール
出演:ティム・カルクオフ、サラ・アドラー、ロイ・ミラー

イスラエル映画の現在2018ということで出品された一本。
残念ながら監督の登壇はなくて、その代わり、プロデューサーと
その息子さんたちの登場でした。

ベルリンで仕事をするイスラエル人オーレンは、ケーキ職人トーマスと
関係を結んでいる。エルサレムには妻と子供がおり、帰国のたびに
お土産にトーマスのクッキーを妻に持って帰っていた。

トーマスは、オーレンがイスラエルで事故に遭い無くなったことを知り
エルサレムを訪れる。そして、オーレンの妻アナトに出会う。


『彼が愛したケーキ職人』 予告編|The Cakemaker - Trailer

初めて見る、イスラエル映画。初めて見る、普段のエルサレム

町中に響き渡る安息日のアナウンスや、食べ物に関わる
宗教的な規則(コーシャー)、外国人・ドイツ人に対する態度など
どこか排他的な近寄りがたい感じがする場所。

でも、誰かに対する感情や愛情、美味しいものに対する感覚は
人間として普遍的なものなのだと思います。

悲しみを静かに静かに消化しようとするトーマス。
夫の死を受け止めきれず、トーマスに感じる疑惑に踏み込めないアナト。

オーレンの母は、トーマスの存在に一目で気づく。

誰かが過剰に反応する訳では無いのに、感情のうねりが感じられ、
一人一人の感情が、するっと腑に落ちていきます。

そして、丁寧に丁寧に、お菓子の生地を扱うトーマスの手が印象的。

最後にアナトがベルリンの空の下で見たものは、観客の感覚に委ねられます。