こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「君さえいれば」 (金枝玉葉)

監督 : ピーター・チャン   1994年香港作品
製作 : エリック・ツァン
脚本 : ジェームス・ユエン、リー・チーガイ
主演 : レスリー・チャンアニタ・ユン、カリーナ・ラウ

広東語のほうで「追」をとりあげたので、この映画を見直すことにしました。

3年連続大賞を受賞した女性歌手ローズとサムのカップル。2人の間にはちょっと隙間風がふいて
いました。そんな時、サムは新人男性歌手のプロデュースを始めます。オーディションに通ったのは
ローズとサムの大ファンのウィン。でも、実は彼は女の子だったのです。

監督のピーター・チャンは、音楽を上手に使ったドラマが得意な監督だと思います。彼の
ヒューマニティに対するセンスは、人間の細かいところをくすぐるような素晴らしいもので、
思い切り笑ったり同感したり、たとえホラーでも静かに涙することができます。

この映画でも、笑えるところはいっぱい。女っぷりたっぷりのローズの大人の恋と、天真爛漫な
ウィンの少女のような恋。でも、一番ドキドキなのは、セクシュアリティの危機に陥った
サムの戸惑いでしょう。レスリー・チャンはカミングアウトはしていなかったと思いますが、
プライベートでは男性の恋人がいたことは周知の事実。彼が主演をした、「覇王別姫」や
「ブエノス・アイレス」では、男を愛する男を演じ、かたや「欲望の翼」「花の影」では、
女性にとっても強烈に魅力的な男を演じています。この頃の彼は自身のセクシュアリティ
挑戦しているようにも見えます。

スタンリー・クワンという映画監督は、自らゲイであることをカミングアウトしています。
彼のドキュメンタリー映画レスリーが“愛に性別は関係ない”といったことと、この映画の中で
“男でも女でも君を愛してる”というセリフが、重なります。この映画の続編「ボクらはいつも
恋してる!」でも、サムだけでなくほかの登場人物のセクシュアリティの追求が続いていくのです。