「鐵三角」
10月23日のオープニングセレモニーに引き続き、上映されたのがこの「鐵三角」。ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーの、香港を代表する巨匠3監督による、共同監督作品です。固く結ばれた揺るぎない関係という意味だそうですが、その三角は3人の監督のことでもあり、3人の主人公のことでもあります。
それぞれ事情を抱えて金に困った男3人の前に怪しい男が現れ、“儲けたいなら、連絡をくれ”といって名刺と古い金貨を置いて立ち去る。後日男に連絡を取ったときには既に死亡していたが、聞いた話しを元に調べ古代の棺を発見する。棺の中からは一組の夫婦の遺体がと、遺体に着せられた装飾品が発見される。
ストーリーの中骨は3人の男と遺体に着せられていた装飾品の動きにありますが、彼らにかかわるヤクザや妻、妻と不倫する警官、そして追いつ追われつのなかで関わる人たちが複雑に絡み合い、最後まで予想のつかない展開です。何しろ、3人の監督がリレー式に撮った映画であり、次の監督に渡すでまでは自由に撮り、次を受ける監督はどういう展開になってるのかは渡されるまでわからない、という状況で撮っているのです。俳優さんたちも、“次はどうなるんだろうねー”と、予想をしながらやってたみたいです。ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーの順番で撮っているのですが、先の二人はどういう結末がついたのか、カンヌで上映された作品を見るまで知らなかったんだそうです。びっくり。
3人の監督の色は、見てて一目瞭然で分かります。“古代の棺”なんていかにもツイ・ハークですし、それに“夫婦の愛情”をからめたリンゴ・ラム。そしてなんといっても“不条理”な展開のジョニー・トー。それぞれの監督のファンの方は、はまるツボがそれぞれあるんじゃないでしょうか。3人の個性を際立たせ、予想外の展開に翻弄されながらも、娯楽映画として一級品となっています。さすがベテラン監督たち。良い意味で、低予算映画とは一線を画しているといえるでしょう。
「出エジプト記」に引き続き、またもや小男サイモン・ヤム。だんだん似合ってきたかも。ルイス・クーは、巨匠に使われベテランにもまれ、良い俳優になってきました。まだ、チンピラだけど。頭フリフリのラム・シューおじさんは、相変わらずの怪演。スポーツ・バイクに乗った警官ユウ・ヨンは、アーチェリーの山本先生に似ているといつも思うんですけど、私だけ？
