こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「マッド探偵」 神探 Mad Detective

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2007年第20回東京国際映画祭 <アジアの風>部門 香港作品

ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門でサプライズ上映された、ジョニー・トー
ワイ・カーワイ監督作品。トー監督とのティーチイン付きの上映でした。

警官殺人と警官から盗まれた拳銃にからむ事件を担当する捜査官ホー(アンディ・オン)は
混迷する事件の解決のために、かつての上司パン(ラウ・チンワン)に協力を依頼する。パンは
その狂気的行動から警察を退職し、孤独な生活をおくっていた。彼はには人間の内面に潜む
“鬼”が見えるという。殺された警官の元同僚チーワイ(ラム・カートン)を調べ始める二人だが、
パンの突飛な行動に、ホーは振り回される。

人間に潜む“鬼”とか“闇”が個々の人格を伴って、1つの人格につき1人の俳優さんが
演じているという構成になっているため、画面にいっぱい人が現れてきます。チーワイは
7人の人格を持っており、車に7人の人が詰め込まれるように乗っていたりします。
パンにはそこにいないはずの妻の人格が現れ、ホーには子供の姿がありますが、映画の最後に
はそれまでに現れなかった顔が出現。突飛ではありますが底深い。

“監督自身は何人ぐらいの人格を持っているかと思うか”という質問に対して、トー監督は
“皆さんもたいてい自分の内面にいくつか持っていると思うが、私は皆さんより多いと思う”
とお答えになってました。そうですよ。ラブコメからスタイリッシュ・アクション、人間の
カルマから黒社会の内側まで、多くの映画を超ハイペースで作り上げていく監督。たくさんの
顔をもっていなければ、できることではありません。上映当日も、前日の茶系のスーツに
銀縁眼鏡の固めの印象からがらっと印象を変え、青みがかった白のスーツにサングラス。
椅子に浅め足を組んでに腰掛け、ちょっとけだるそうな受け答えは、オシャレなチョイ悪オヤジか
ちょっと危ない社会の方かという雰囲気。まるで別人のようでした。前日、ツイ・ハーク
監督とリンゴ・ラム監督と、飲みすぎちゃっただけかも知れないけど。(^_^;)

ワイ・カーワイとの共同監督については、リレー式に取った「鐵三角」とは違い、この映画は
2人の間に共通認識があることが前提であると語っておられました。また、2人で監督すること
のメリットは、アイデアの幅が広がるところにあるともおっしゃっていましhた。

ラウ・チンワンは、恐ろしいぐらいの怪演。ちょっと体しぼりましたでしょうか。
それから、ラム・カートン。最近私が見た香港映画の中に、かなりの確率で出演してます。
油ののり始めた俳優さんです。