こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ティトフ・ベレスに生まれて」 I am from Titov Veles

東京フィルメックス最終日、特別招待作品のマケドニア映画を見てきました。

マケドニアのベレスという街に住む3人姉妹。彼女らはそれぞれ問題を抱え
街から抜け出したいと思っている。切なくて救いのないお話でしたが、
テオナ・ストゥルガ・ミテフスカ監督の繊細な色彩感覚とフレームワーク
言葉では多くは語られない彼女たちの物語を感じ取らせてくれました。

映画上映後、監督がティーチ・インに登場。私自身マケドニアについては、
その国名についてギリシャと争っているということぐらいしか知りませんでしたが、
監督のお話によってマケドニアのこと、映画の背景が浮かび上がってきました。

マケドニアは旧ユーゴスラビア連邦に属し、ユーゴ崩壊とともに1991年に独立。
映画の舞台ティトフ・ベレスという街は、ユーゴスラビアの指導者チトーの
名前にちなんだもので、今では“チトーの”という意味の“ティトフ”が
取り除かれて“ベレス”と呼ばれています。

監督の話によれば、マケドニアの人にとってチトー時代、2面的な複雑な気持ちを持って
思い出されるものだと語っていました。ティトフの街は、チトー時代に近代化がもたらされ
町の中央に製鉄工場が建設されました。近代化により街の発達を見ることができましたが、
そのために公害問題がおき、またその近代化から取り残された人たちが出てきます。
映画の3姉妹は、まさに取り残された人々なのです。

マケドニアは外交的な問題をかかえ、今でもまだ閉鎖的な国で、国外に出るのがいまでも
難しいのだそうです。ミテフゥカ監督は、東京に来るためにビザもいらず、すんなり
来ることができたことが嬉しい喜びだったようです。

映画を見、そして製作者の生の声を聞くことによって、今まで知らなかったことを知る。
また一つ世界が広がった気がします。