2019年 香港作品
監督 : ウォン・シンファン
出演 : アーロン・クォック、ミリアム・ヨン、アレックス・マン、チョン・ダッミン
24時間営業のファーストフード店に集まる、様々な理由で社会の下層にいる人たち。
少しでも注文さえすればお客としていられる、このファーストフードの店は、厳しい現実がある彼らにとってはシェルターのようだ。
実は、似たようなことアメリカでみたことがある。夜遅くなって、他にチョイスがなくて、マックでハンバーガーとポテトフライの夕食を、同僚と一緒に取った時のこと。
フライドポテトが食べきれなかったので、片付けて帰ろうと思った時、同僚が”そのままでいいのよ”と言いながら、離れた席にいる貧しい身なりの家族の方をちらっと見やった。私たちが席を立った後、彼らがこの席に移動した。
格差社会は、どこにでも存在するのだ。
家出少年。金融業会の寵児から転落した男。落ちぶれた歌手。借金返済のために働きづめの女。家があるのに帰れない老人。それぞれが訳ありで、社会の片隅に追いやられた人々の群像劇が、丁寧にえがかれている。重々しくなる内容ではあるが、どこかユーモラスな部分があるのは、この題名からも伺えるだろう。
”麥路人”は"末路人" と取れるのだが、麥が某ファーストフード店を思わせる。そして、その副題"I'm living it."が秀逸。
その辺のこと、登壇した監督とアーロンからゆっくり話を聞きたかったけど、上映時間が遅すぎて、QA最後まで聞けず。残念〜。
それにしても、エンターテイメントではない社会派映画に、アーロンとミリアムという大スター二人が出るなんて、香港と彼らの懐の深さには感服。
そして、今は遠くなってしまった、香港の巷の喧騒を懐かしく観る映画となりました。