こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「麥兜故事」 My Life as McDull

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2001年 香港作品
製作・原作:謝立文(ブライアン・ツェー)、 麥家碧(アリス・マク)
監督:袁建滔(トー・ユエン)  音楽:何崇志(スティーブ・ホー)

2001年、香港で大変話題になった作品です。初めての100%香港製作オリジナル劇場アニメーションで
丁度「千と千尋の神隠し」の香港上映と重なり、どちらが人気がでるかなんていう話題が新聞にも
載っていました。

運よく上映時期に香港に居合わせた私は、さっそく劇場で鑑賞。人の好いマクダルのキャラクターと
リアルな香港がファンタジックに見える映像にすっかり魅了されました。英語字幕で香港ローカルの
ギャグについていくことは難しかったですが...。

マクダル(麥兜)は、“黄巴士”という子供向け雑誌から生まれたキャラクター。元々はマクダルの
いとこであるマクマグ(麥ロ麥)を主人公に1991年から雑誌に連載が始まったのですが、1994年に
マクマグが登場し、一気に人気が出たようです。そして、1997年からケーブルテレビでTVアニメ
シリーズを開始。全13話のストーリーが完成しました。

劇場版「麥兜故事」は、アニメシリーズのダイジェスト版ともいえる内容で、“モルジブの休日”
“ライガンさんを探して”“クリスマス・ターキー”の話を中心に、マクダルの出生エピソードや、
マクダルのお母さん(麥太)の奮闘、ローカルなギャグを細かく交えて構成されています。

また、劇場版では声優にアンソニー・ウォン、サンドラ・ン、ジャン・ラムを迎えています。

マクダルは決して頭の良い優秀な子どもではありませんが、素直で優しい。こんな子供が
厳しい競争社会の香港で生き抜いていくのは大変なのではないかなあと思います。お母さんが
厳しくするのも、心配するのもよくわかる。外の世界はつらくて厳しいことがいっぱいなのだ。
でも、自分の世界を中心に回っている子ども時代は、決して辛いことばかりではなく、
自分の目で見て感じる、美しい世界なのです。そして、映画を見てるとマクダルと一緒に
香港にいるような気がしてくるのです。

この映画は、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で長編グランプリを受賞。
日本では東京国際映画祭でのみの上映となりましたが、2作目の「パイナップルパン王子」は
劇場上映されました。TVアニメバージョンのほうは、日本のケーブルテレビで放映され
DVDも発売されました。

ちなみにマクダルの名前は、お母さんが神通に耐えている時に飛んできてお祈りした
プラスチックの洗面器(“膠兜”という)に由来しています。最初は膠の文字をとって
“マクガウ”にしようかと思いましたが、“ガウ、ガウ”というのが聞き取りにくいので
“兜”をとって“マクダル(音としては“マクタウ”って感じか)になりました。

以前“兜”っていう名前から、決して賢い子を連想することはできないと、広東語の
先生がおっしゃっていましたので、この字にはどこか鈍いイメージがあるのでしょう。
でも、なぜ洗面器が飛んできて、お母さんがそれにお祈りしたのかは不明。香港文化に
何かヒントがあるんでしょうか。