こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「マクダルのカンフーようちえん」 麥兜响ロ當ロ當

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2009年香港作品
製作・監督・脚本 : ブライアン・ツェー
美術監督 : アリス・マク
 
8/11から上映が始まりました。子供向けアニメ映画という位置づけのためか、吹き替え上映のみと
なっておりますが、マクダルの世界は十分楽しめることでしょう。
 
お人好しでのんびり屋。力はあるけど、成績はイマイチなマクダル。おかあさんは、一大決心をして
マクダルを武当山に武術修行に出し、自分は大陸にビジネスの勉強に行くことにします。
 
ファンタジックではあるものの、大人の事情やナンセンス、自嘲ぎみのギャグが飛びだし
おまけにローカルな事情もからんで、子供にとっても日本の大人にとっても決してすっきり
明確な映画ではないでしょう。
 
マクダルは、試練を乗り越えこども武術大会に出るものの、だからと言ってそれで
現状が変わるわけではなく、マクダルは結局もとのままのマクダル。「カンフー・キッド」や
カンフー・パンダ」のような、熱い成長物語ではないのです。
 
競争激しい香港社会の中で、確かにこういう子供は生きにくいところかもしれない。
シングルマザーの母親はそんな子供のためにも自分のためにも、必死になるでしょう。
でも、マクダルはマクダルでいいんだよと、いうところがこのシリーズの癒しポイント
なのではないかと思います。
 
マクダルシリーズは、1960年代に香港で生まれ育ったのブライアン・ツェー、アリス・マク夫妻の
世代感覚を反映し、香港を描いた映画だと思います。変わりゆく香港の中で、おかあさんが直面する
現実の香港。不在のお父さんが逃避した現実。それは、彼らが見てきた香港の時代でしょう。
長い歴史と先祖(マクデブ)に対する感覚、武術やブルース・リーもまたしかり。
 
でも、マクダルは自分の世界の中で生き、千年を刻む大きな時計を作ります。たとえそれが
何かに役に立つとは思われないものであっても。それもまた、彼らの中にある感覚なのでしょう。
 
ちなみに、マクダル君が武当山で習っているのは太極拳。推手という、組手も披露しています。
手足の短い彼の動作からはちょっと分かりにくいですが、実は本格的だったりするのかも。
 
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