「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」

人気漫画の映画化っていうのは最近良くあるパターンですが、これは夏休みにぴったりの
映画です。

主人公花田一路は、いまどきこんな悪ガキいるのかいと思うような腕白少年。トンネルの前で
交通事故にあって頭を打ち意識不明になった後から、幽霊が見えるようになってしまいます。
彼の前には、女子高生、近所のばあさん、元弁護士など、ワケありの幽霊たちが現れ、今の
現実と繋がっている過去の色々な事実に少年を巻き込んで行きます。

原作を読んでいないのですが、映画の中には漫画の中でお馴染みのモチーフがたくさん
登場しているようです。また、漫画原作の映画にはよくありますが、“小さいコマ”まで
楽しませるような細かいカットでの細かい造りや、オチ、小さな独白など、漫画的な要素が
たくさんあり、楽しめます。何よりも、子供が人間（一部幽霊）と関わりあい、自然に囲まれ
大人や子供同士の事情などで悩みながらもパワー全快で立ち向かっていく姿が良いです。

生と死がバーチャルなものに感じられてしまう今の世の中のなかで、少年が住む町が漁師町という
設定は、現実に生死と隣り合わせに生きている人たちということを感じさせます。バーチャルな
物見ている私が言うのもなんですが、子供たちは生身で物に触れ、獲得と喪失の葛藤を
してこそ、成長できるのではないかと思います。