2008年香港作品
監督・脚本:ダンテ・ラム
犯罪者を追跡中に幼い子供を殺してしまった刑事トン(ニコラス・ツェー)、自分のした行動から
事件に巻き込まれ娘を失った女性検事アン(チャン・ジンチュー)、半身不随の妻をかかえる
暗殺者ホン(ニック・チョン)。残酷な運命に翻弄される3人が、担当する事件のために
アンのもうひとりの娘が誘拐された時、3人の運命の歯車が再び回りだします。
「密告・者」(2010)は、こちらの作品の高評価もあって製作された作品のようですが
内容的なつながりはありません。愛する者のため、守るべき者のために心に傷を負った
人達を描いている、という点では共通しているでしょう。過剰なまでのアクションシーン、
激しい暴力がトン、アン、ホンの心の痛みを映すようです。
この作品で、実力者ニック・チョンは第28回香港電影金像大奨主演男優賞を、トンを助ける同僚役の
リウ・カイチーは助演男優賞を獲っていますが、ニコラスもいい俳優になってきたなあという感じがします。
緊迫した追跡ドラマの舞台は、軽便鉄道の走る新界から始まり、ホンが潜伏する北角あたりが中心。
猥雑な雑踏と、壁のように立ちふさがる古いビル。薄暗い唐楼の内側と、窓から聞こえるトラムの音。
香港映画はやっぱりこれ、ですよ。