こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

シリアナ (Syriana)

最近は日本でも、いろいろアメリカに対する風当たりが強い。“自分たちが一番だと
思っているだろー”という思いがあちこちに見受けられる。この映画も、元CIAの人が
書いた本をベースにしており、石油の利権のためにアメリカのBigMoneyが世界や弱者を
踏みにじっていく様子が描かれている。

アメリカの石油会社の幹部にしても、CIAにしても、潜入捜査官にしても、産油国のプリンスに
しても、パキスタンからでてきた貧しい労働者にしても、自分が見ている世界が現実だと
思っている。世界がどんな風につながっているかなんて、思いもよらないに違いない。

善良なパキスタンの若者が、テロ組織に取り込まれていくのには、何の悪意もない。
ただ単に彼にとってはそれ以外の現実が存在しなかっただけだ。潜入捜査官にとっては
現実などどうでもよかったはずだ。彼には、任務だけが現実だった。悪意があるのは
金と利権のために人間を犠牲にしていった人たちの所だ。

でも、単純に勧善懲悪で終わることがないのが現実。善意あるものも、悪意あるものも
滅びたり生き延びたりする。それぞれが自分たちのことしか見えない状況で、“自分たち
の正義”をかざしてもむなしいだけだ。

しかし、こんな内部告発的な映画ができるところがアメリカの懐の広いところかもしれない。