こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

東京国際映画祭 「My Mother is a Belly Dancer」

2006年香港作品
監督:リー・コンロッ  プロデューサー:ダニエル・ユー、ウォン・チンポウ
脚本:エリカ・リー
出演:エイミー・チョム、シドニー、クリスタル・ティン、モニー・テュング

“ゴキブリと主婦だけは、生き残る”などど言われ、世間からも夫からも白い目を向けられている
主婦たちのお話。なんだかんだ言っても、皆それぞれ家庭の事情があり、悩みはつきません。
図太く生きているように見えても、弱い立場だったり、誰の理解も得られなかったりして
自分の本当の気持ちは心の底に押し込めています。そんな主婦達が、ベリーダンスに出会うことで
自己表現をすることになっていきます。

夫も自分も仕事を持ち経済的には困っていないが、夫の浮気を疑うチャン夫人。学が無い
ために子供にバカにされ、夫には話も聞いてもらえないリー夫人。4人の娘を抱えるが、夫が
無収入のため団地の清掃人として働くウォン夫人。子供を抱えて出戻ってきたチェリー。
それぞれの生活と悩みが、大げさに誇張されずにリアルに淡々と描かれていきます。

リー・コンロッは、香港インディペンデントの旗手という紹介をされていますが、元々は
テレビのAD出身の方。インディペンデント的な尖った感じではないけど、香港らしい
商業的な映画とも一線を画すような作品になっていると思います。何しろ、主人公は
普通の団地に住む女性達。警察も黒社会も華やかなお金持ちも出てきません。演じる4人の
女優さんたちも、ほんとに地味な普通の人に見えます。おまけに、最後は皆で踊って
ハッピー・エンド的な終わり方にもなっていません。余韻は残しても、後味は悪くないのです。

この映画も「I'll Call You」ど同様、アンディ・ラウが製作に関わった作品です。ちょっとだけ
登場するのも、おばさん達が「愛と死の間で」のVCD見るのも、ご愛嬌です。ティーチインで
アンディ・ラウは、自分にも他の人にも厳しい人と聞いているが、映画を作るに当たって何か
アドバイスなどがあったのか。”という質問に、“自分の映画については、信頼して自由に
やらせてくれた”と、リー監督は答えていました。