こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「敬愛なるベートーベン」 Copying Beethoven

別に年末に第九を聞くとかいう習慣があるわけではありませんが、今年最後の映画に
選んでみました。

なんだか拍子抜けだったのが、頑固な偏屈オヤジのはずのベートーベンが、わりと
あっさり女学生アナを写譜の手伝いに受け入れてしまったこと。いくら病気で
スランプ真っ最中だからといって、神が使わした天使だなんて。だいたいどんなに
優秀だからといっても、あの時代、女性はどうでしょう。ダイアン・クルーガー演じる
アナというキャラにリアリティがないのです。フィクションだからこそ必要なリアリティが。

ベートー・ベン演じるエド・ハリス。音楽以外のことは無頓着で、周囲のことなど
眼中に無い。甥っ子を盲目的に愛し、創作にはエネルギッシュであることがよく
判ります。もちろん変人ではあったのだろうけど、そこまで下品か?とも思います。
ベートーベンの内面を描いたということであれば、「永遠の恋」のベートーベンのほうが
偏屈だけど繊細で、同情できるキャラでしょう。

素晴らしかったのは、第九初演のシーン。録音技術のないあの時代の初演というものが
どのように重要なものだったか。あの時代の劇場の雰囲気がどのようだったか。そして
現代のように多用な音が垂れ流され消費されていたわけではない時代の音楽が、
人々にどんな影響をあたえたか。そんなことを考えながら見ることができました。