こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「マリー・アントワネット」

イメージ 1

伝統あるハプスブルグの末娘マリーは、14歳で異国のブルボン家に嫁ぎ、無邪気な
無知と孤独を浪費で紛らわし、18歳で王妃となります。葛藤の中、人間的に成長した
頃には、世の中は彼女から離れ、悲劇となっていきます。そんな彼女のストーリーは
ベルサイユのばら」を読んで成長した世代のかたならよくご存知だと思います。

歴史文学者アントニア・フレーザーは、マリーを何も知らずにフランスに嫁いでいった
ティーン・エイジャーとして描き、監督ソフィア・コッポラは彼女を現代的な
視点においた。それがこの映画のテイストです。歴史大作や華麗なる悲劇を
想定してみると、肩透かしをくらいます。儀式的なフランス宮廷に戸惑いを感じ、
少ない自由の中で、おいしいものを食べ、服をとっかえひっかえし、夜遊びやパーティに
いそしむ。孤独や中傷、ままならい思いに絶えながらも、軽やかに自分を生きている。
今時の女の子にも充分感情移入できるマリーになっています。ただし、気ままなマリーに
見えますが、セレブに生まれたものの運命を知っていますし、責任として受け入れていく
強さも感じます。

そりゃあ、言葉遣いは今風(英語だけど)だし、音楽は'70-'80年代のネオロマンティック。
アダム・アントやバウ・ワウ・ワウにスージー・アンド・バンシーズのベルサイユなんて
ぶっ飛びすぎでしょう。おまけに、あんな生クリームいっぱいのケーキや色とりどりのマカロン
なんてあの時代にありえない。ソフィア・コッポラの趣味一色といっていいでしょう。
歴史ものにそれを押し通すなんて、さすがセレブ生まれのソフィア。マリーに同じにおいを
感じるところがあったんじゃないかなあ。