こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「グリーン・デスティニー」 臥虎蔵龍

2000年 中国・香港・台湾・米国作品
監督:アン・リー 脚本:ジェームス・シェイマス、ツアイ・クォジュン、ワン・ホエリン
制作:アン・リー、ビル・コン、シュー・リーコン
出演:チョウ・ヨンファ、ミッシェル・リー、チャン・ツィイーチャン・チェン

血で血を洗う武術の世界に嫌気がさした達人リー・ムーバイは、引退をすることを
決意し、400年受け継がれた銘剣“碧銘剣”を妹弟子ユー・シューリンに託しティエ氏の
元で預かってもらうことにする。剣の魔性が、貴族の娘イェン、女盗賊の碧眼狼を
惹きつけ、手放したはずのムーバイ、シューリンも巻き込んでゆく。

王度蘆の武侠小説「臥虎蔵龍」が原作の映画。長い武侠小説を映画化すると、どうも
掻い摘んだ感じで物足りなくなってしまうものが多いものの、原作の“碧銘剣”にまつわる
因縁と人間関係をうまく織り込んだ映画になっています。

とはいえ、多少腑に落ちないところがあるのも確か。なんで、イェンはそんなに
“碧銘剣”に執着して、ムーバイやシューリンに反発するのかよく分からない。また、
こことは特定しきれないけど、台詞が腑に落ちないのは、原作にある背景の説明が
じゅうぶんされていないのか、もしかすると英語の脚本を日本語字幕してるからかも
しれない。普段、大田直子さんの字幕は、あまりそういうことがないから。

中国語作品の字幕でで困るのは、名前とか固有名詞。カタカナだと覚えにくいんだなあ。
(といいながら、私も役名や役者の名前をカタカナにしていますが。)。正しく発音できなくても
いいから、なるべく漢字にしてもらいたい。あと、字幕では人の名前を出すのに、名字か名前を
どちらかに特定するという規則になっている思いますが、明らかに読んでる名前と字幕が
違うっていうのはどうなんだろう。字幕ではイェンといっている貴族の娘、漢字で言うと玉嬌龍という
名前のようですが、映画では明らかに“チャオロン”とか“ロン”という音が聞こえるのに、
そして彼女に対してそう呼びかけているのが多い様子なのに、字幕ではずっと名字と思われる
“イェン”。なんだかちぐはぐな感じがしてしまいます。

映像は綺麗。洗練されている感じがあります。欧米のマーケットにも受けた理由はその辺
でしょう。アカデミー賞4部門獲得しています。剣のアクションは、美しい。ワイヤーアクションは
大袈裟かとは思うけど、中国の武侠小説の映画化ですからことばどおり表現したら
あんな感じなのでしょうね。

最後は“碧銘剣”の魔性の前に、人間の運命ははかなく散ってしまいます。
イェンとローの若さに突き動かされた熱い恋も魅力的ですが、ムーバイとシューリンの
内に秘めた大人の恋も切ないです。