頭でっかちの混乱した行かれる若者が、自由を求めて旅に出る話だという認識で
見に行ってきました。さすがに、最近はこのようなお話は青臭さが鼻についてしまう
ことが多いものです。
この映画、確かにそんな話でした。でも、それだけではない、何かがあるのです。
将来を約束されたような優秀な若者クリスは、家族問題のトラウマで行き場のない
怒りを内に込めている。家族や社会の矛盾から自由になるために、車を捨て、
貯金を寄付し、残った現金を燃やし、アレックスと名乗り、放浪の旅に出る。
そんな中で、彼は様々な人に出会い、さまざまな人生を見る。彼は出会った人たちを
受け入れ解放する。出会った人たちにとって、時には天使のようでさえある。
なのになぜ、彼は両親を許すことができなかったのか。その辺が親子関係の
難しさなのか。
そして、完全なる自由を求めてアラスカの荒野に赴き、その荒野に囚われて命を
落した彼の短い人生は何だったのか。彼は最後に両親を許すことができたのか。
彼が最後に見たものは何だったのか。
最後のほうに、彼はこんな言葉を残します。"Hapiness is real only when shared."
クリス本人が残した言葉の数々と、原作者ジョン・クラカワーの丹念な取材と、
10年の歳月をかたショーン・ペンの映像が、それらを示唆し、意味を見出させてくれます。
主人公を演じるエミール・ハーシュは、出色です。時には気難しく、時には優しく。
変わりゆくクリスの風貌が、乗り移ったかのよう。
結局この、青臭い短慮とも思える若者の人生に引き込まれ、自分が昔持っていた
怒りにもにた感情とか、自分が旅を続ける意味とか、いろんな事を考えてしまいました。
原作読んでみたいです。
http://intothewild.jp/top.html