こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「おくりびと」

火葬場で働く男が、“死とは門だ”といいます。だれもが同じように通らなければ
ならないのです。そして、新たな世界へと場所を移す。その門をくぐって別の世界に
行くときにお手伝いをするのがこの映画の主人公である納棺師の仕事です。

生前様々なことがあったであろうその人の人生に敬意を払い、その人に関わった
さまざまな人たちの別の人生を見る。そんなことを仕事にする人がいるんですね。
普通だけど悲喜こもごもの人生を送る人たちと、その人たちを見守る納棺師。
時には驚き、時にはおかしく、そして悲しい。だけど最後に思いやりと
邂逅がある。死をこんな風にとらえることもできるのかと思いました。

人の良さそうな、ちょっと浮世離れしたような、新人納棺師役に本木雅弘
意外とくすっとおかしい役がはまっています。この映画の発案をしたのも彼だそうです。
納棺師の手さばきが、美しい。

脇を固める山崎努余貴美子吉行和子笹野高史も、それぞれリアリティのある
普通の人々を演じています。納棺師の妻役、広末涼子はなんかちょっとリアリティが
ないんだなあ。これが彼女の味なんだろうか。

考えてみれば、自分の事なのに自分の死後のことだけは自分で経験したり
仕切ったりすることができないんですよね。うわー。どうしよう。
盛大な葬儀や戒名なんていらないけど、最後はこんな風に納棺師に
きれいにしてもらいたいかも。