こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ウォーロード」 投名状

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2007年 香港・中国作品
監督・プロデューサー:ピーター・チャン
脚本:スー・ラン、チュン・ティンナム、オーブリー・ラム
アクション監督:チャン・シウトン
出演:ジェット・リーアンディ・ラウ金城武、シュー・ジンレイ

映画の中に、きれい事もファンタジーも一切ない、戦争がありました。
そして人間の様々な思いをのみこんでいく戦争が。

時代は清朝末期、民衆の苦しみが極限に達し、太平天国の乱が勃発。
清朝軍と太平軍は、一進一退を繰り返していた頃のお話です。

清朝軍を率いたパン将軍(ジェット・リー)は、味方の援軍を得られず大敗。
その後に出会った盗賊の頭目アルフ(アンディ・ラウ)とその弟分
ウーヤン(金城武)と“投名状”の誓いを結び、彼らを引き入れて清朝軍として
戦うことを決意します。

3人の中で、一番複雑な感情をかかえているのが、パン。大敗のトラウマを抱え涙し、
大義のために非常になるも、心のうちでは葛藤する。時にアルフの持つ男気を羨望し
時に一人の女に執着する男。ジェット・リーがあんな風に生臭くも切ない男になれるとは。
彼はこの映画で初めて香港電影金像奨主演男優賞を取りました。

アルフは、男気にあふれる男で仲間内には絶大な信頼をおかれる男で、最後まで
自分を捨てない人物。ある意味、とってもアンディらしい役でしょう。

でも、そのアルフの武骨さが、教養のあるリィエン(シュー・ジンレイ)には、物足り
なかった。だから、彼女は文化の匂いと陰のあるパンに魅かれてしまったのでしょう。
今まで、シュー・ジンレイの魅力というものがあまりよくわからなかったのですが、
こういう綺麗なお人形ではない役だと、光る気がします。

若いウーヤンは、あまりに純粋。男としてアルフを慕い、パンを尊敬。二人の40男の俳優の間で、
十ほど若い金城武が、彼らしい役をやったなあと思います。孔明より、こちらのほうが似合って
いるかも。

リアルな戦争シーンのため、チャン・シウトンは、ワイヤー・ワークを封印。生生しくも
迫力のある戦闘シーンが出来上がっています。その激しい映像の中、それぞれの登場人物の思い、
そして戦う兵士たちの心理がきめ細かく描かれている。ピーター・チャン監督の真髄と
いったところでしょう。