こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「インビクタス/負けざる者たち」 Invictus

2009年アメリカ作品
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作総指揮:モーガン・フリーマン
出演:モーガン・フリーマンマット・デイモン

2年前に「マンデラの名もなき看守」という映画がありました。その映画は
マンデラが釈放されるまでのお話で、その間の苦闘と彼に関わった看守のストーリーでした。
こちらの映画は、その後の彼の姿を見ることができます。

1995年に南アフリカで開催されたラグビーのワールドカップ。ワールドカップ1年前、
南アの代表チーム“スプリングボックス”は最悪のチーム状況。当時のチームは
白人中心のチームで、黒人たちにとってはかつてのアパルトヘイトを象徴する
ものでもありました。マンデラ大統領は、そんなチームを大きく変えることを望まず
サポートをしていきます。

大統領官邸の様子や、ラグビーを通して、マンデラ大統領の思想を目にすることができます。
彼が目指したのは、恐れや憎しみを超えて、人種の壁を越えた協力で、“虹の国”を作り上げて
いくこと。中国思想っぽい言い方になりますが、こういう人こそ、天(神)に選ばれた人、
それを成し遂げるための天運がある人、と言えるでしょう。そのためにどれだけ長い苦難が
あったとしても、彼はそのために生きていく。

とはいえ、映画の中で、ネルソン・マンデラはただ聖人のように描かれているわけではありません。
彼は何とも、人間的な表情を持っています。リーダーとしての顔の間に、寛容とやさしさ、
ユーモアを持っています。長い収監生活の後で、家族と心が通わなくなってしまった孤独も
抱えています。人生の長い時間を、無理解と偏見、暴力によって奪われながらも
あるべき国の姿を描くため、憎しみや恐れを乗り越えようとする。そんな彼の姿が、
スプリングボックスの主将ビナール、大統領官邸に働く人々、やがて南ア国民に浸透していきます。
これが実話であるということに、驚かざるをえません。そして、その姿から、クリント・イーストウッド監督の敬意が伝わってくるようです。


マンデラが、獄中で心の支えにした一遍の詩があります。

INVICTUS ~ William Earnest Henley

Out of the night that covers me
Black as the pit from pole t pole
I thank whatever gods may be
for my unconquerable soul.

In the fell cluch of circumstance
I have not winced nor cired aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.

Beyond this place of wrath and tears
Looms but the horror of the shade
And yet the menance of the years
Finds and shall fine me unafraid.

It matters not how strait the gate
How changed with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.


3つのフレーズが心にしみます。

“どのような神であれ、私の征服されざる魂に感謝する”
“私は私の運命の支配者”
“私は私の魂の指揮官”

今の社会状況、今年南アフリカで開催されるサッカーのワールドカップのことと同時に、
何が人を支えるのか、なぜ強くいられるのか。いろいろなことを考えさせてくれました。